白魔法

 

 

好きになる人はいつも、私には振り向かない人だ。それなのになぜか、私に素敵な言葉をくれる人だった。私が今まで好きになった人はみんな、魔法使いだった。

過去に好きだった人にも、今好きな人にも、きっと私の言葉なんて届かないのだろうけど、なんとなく、忘れたくないので、ここに記録したい。

言葉は魔法だ、もう連絡の取れない高校の時の部活の部長も、担任の先生も、私を救ってくれなかった中学の時の先生も、星に詳しくて散歩が大好きなきみも、雨みたいな歌を作るあなたも、繊細で穏やかなきみも、みんな、魔法使いだった。私に魔法はかからないけれど、私には魔法が見えた。音がなくなる瞬間も、掻き消される言葉も、ちゃんと、私は覚えてる。一緒に過ごした少しの時間も、たくさんの時間も、全部は思い出せないけど、その魔法だけは忘れられないな。

みんな違う魔法を私に見せてくれて、そして、今でもずっと、その魔法は私の味方で、時に私を縛り付ける。幸せだったよ私は。言葉が大好きだからね。文芸部だし。

 

魔法使いのきみへ

私は魔法が使えないけれど、いつでもきみの味方でいたいと思うよ。

 

 

言葉の雨だけは、振り続けてほしいです。雨はやんでほしいな。頭痛いし、濡れるし、心も落ち込んでしまうから。雨は大好きだけどね。