あなたへ - 真綿に針を包む。

このブログを読んでいるあなたへ。

私は、人の名前を呼ぶのが苦手だ。きみとか、あなたとか、そんな風に呼んでしまう。SNS上でのお名前しか知らない人、あだ名しか知らない人、苗字しか知らない人、お名前の漢字は知っているのに読み方が分からない人。あなたへ。

私は、元々自分の名前があまり好きではない。だからたぶん、人の名前を呼べないんだ。呼ばれたくないから、呼べないんだ。でもね、素敵だなあってちゃんと思うんだよ。自分の名前も、誰かの名前も。素敵な漢字だったり、響きだったり、きっと誰かがくれた特別なんだなあと思うよ。

それでも私は、きみのお名前を呼べない。私がきみのこと、きみって呼べる世界が特別で、出会えたことが特別なのかもしれないなあなんて思ったりするよ。

手が届く距離で、触れられる距離で、ちゃんとこの声で、きみのこときみって呼べるといいね、それが特別だといいね。

なんて呼ばれたら嬉しいか、こっそり教えておいてね、いつかこの特別が別の特別になるときにお名前を呼ぶかもしれないからね。

なんて、特に意味もなく、誰宛というわけでもなく、なんとなくつらつらと書いてはみたけれど、心は何も満たされていない。何だかちょっぴり心が虚しいんだなあ。

私は空っぽが特別なんだ。何もしないことは時間の無駄なんかではなくて、それを特別だと思える私のこと、私はちゃんと好きだ。でも、時間を有効活用してとか、お金を稼いでとか、充実した時間を過ごしていてとか、羨ましいなとも思う。ちゃんと思う。いろんな私になりたい。全部できる私になりたい。あぁ、全部やめたい。