病気

 

 

自分に自信がない病気で、たまにはそれが、魔法になった。私が今の私になった理由が過去にあって、私を作り出した人にかけられた魔法。そして病気。一生治らない病気。人の恋愛観は、初めて付き合った人で決まるというけれど、結局私は付き合えなかったよ。

好きになった相手に対して、付き合いたいと思ったことはほとんどなくて、結ばれなくていい、ただ存在してくれればいいと思っている。その人の幸せに自分は入ってなくていいと思っていた。これは過去の話。骨の髄までオタクなので、恋愛感情はほぼ、推しみたいな感覚だった。それで満足だった。私の恋愛観の核を作り出した人は、私が初めて特別になりたいと思った相手で、何かの奇跡が起きたら結ばれたい相手だった。彼は素敵な人だった。私を求めてくれて、人間味のある人で、素敵な歌を作る人だった。そして、私のことを都合よく扱う人だった。その時に私の恋愛観は確立して、そして、貞操観念がバグったのだと思う。

私は誰の1番にもなれないから、私も誰のことも1番にしない。あぁ、幸せになれないタイプだ。

人生にモテ期は3回あるとよく言うけれど、私は保育園に入園してから、小学4年の途中くらいまでの間にたぶん、3回終わってる。「好き」と言われて、それが当たり前だと思うくらい、たぶん当時の私は、自分に自信があったのだと思う。恋愛に関してじゃなくても、私は人に求められる存在だと思っていたし、頼られることが当たり前だった。そういう人だった。過去の私は。紆余曲折ありまして、私のそれまでの自信は全て削がれて、今の私が完成した。

誰かの「好き」の言葉に、「ダウト」と返すようになって、「好き」と言われたら、「何番目に?」と聞くようになった。これが私の病気。一生治らない病気。そしてたまにはそれが、魔法になる。私の魅力のひとつになるかもしれないし。私は魔法使いにもなれるかもしれない。ただ、魔法の杖を使いこなせなくて、魔法の杖で、人を傷つけているのだと思う。魔法使いになれなかった私のお話。