水泡

 

 

努力をしたつもりだった。不安にさせないためにいろんなことをしたつもりだった。1番すべき努力はもちろん分かっていたけど、3年以上積み重ねたものを、ほんの1ヶ月そこらで捨てるのには覚悟が必要だった。そのための準備をしていた。いろんな努力をしたつもりだった。

転職をした。荷物をまとめた。家を出た。全て無駄だった。私の心も、覚悟を決めたような気がしていた。どれもこれも、無駄だった。私は私のことを好きでいてくれた人を突き放して、3年以上の何かを捨てるつもりで動いて、それで。

私には、何もなくなった。味方だと思っていた人に突き放されて、頼りたい人を頼れなくなって、そして、あったはずの何かも、覚悟を持って手放した何かも、なくなってしまった。

言いたかったことも、渡したかったチョコも、やりたかったことも、約束も、全部消えてなくなってしまったなあ。

無意識のうちにチョコを2つ買っていて、きっと渡すべき人も、渡したい人もいたのだと思うけど、どちらも無駄になってしまった。2月中なら許してよ。なんて買ったチョコは、きっとどちらも無意味だ。

私は家には帰らないし、2月末に会う約束もきっと覚えていないだろうな。全部無駄だ。全部水の泡だ。

しゅわしゅわって。消えてなくなっちゃったね。

 

 

水道水のような日々、炭酸水のような恋の歌。