期待のお話

 

 

期待というものは、いつの間にかしてしまっているものなので、「期待してるよ」って言う人は、そこまで期待していないから大丈夫。きっとみんな、裏切られて初めて、期待していることに気づくのだ。

 

私には好きだった人がいた。その好きだった人を好きな理由が、私のことが好きだからだった。私のことがすごく好きだから、私もいつの間にかその人に期待してしまっていて、突き放されて初めて、私もその人のことをちゃんと好きになっていたこと、そして、好きだからこそ、いろいろなことに期待してしまっていたことに気付いてしまった。

一緒にいるときの彼の言動は、「この人はきっと、私のことを嫌いにはならない」という期待と安心を持たせるようなものばかりだった。いや、結局突き放されてしまったのだけど。

そして突き放された後、私は裏切られたことに気付いて、思った以上に心を開いていたこと、好きだったこと、だからこそ、期待してしまっていたことに気付いた。

期待することも、期待されることも、きっと悪いことではないけど、実感したときにはもう既に、苦しいものになっている。悔しいね。

私は彼に、期待されていたのだろうか。彼女になってくれるだろうという期待。裏切ったつもりはなかったけど、期待なんて、見えるものではないので、勝手に期待して、勝手に裏切られたと思って、勝手に傷ついているものだ。私も、あなたも。

あの頃の私は、きっといつか、あなたのことを選ぶだろうって、何となく、そう思っていた。けど、そんなことはもう、どうでも良い綺麗事だ。

 

好きだった人のLINEをブロックした。いつか何かがあれば、またねがあればなんて期待してしまっていた。昨日まで。だから今の今まで、LINEをブロックできなかったのだと思う。あなたからの連絡を、私はずっと、期待していた。

 

私はたぶん、私のことを好きだと言ってくれた相手にとっての、優先順位が下がったことを悟った瞬間、期待値が0になる。その瞬間を実感した。

 

 

ねぇ、好きな子できた?私より好きな子。それじゃあね。

 


Sori Sawada「またねがあれば」Music Video - YouTube